不動産の名義変更(相続登記)が必要な理由
[最終更新日]:2018/01/12
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に不動産の所有者名義を相続人の方へ変更する手続きです。
不動産は大変価値のある財産ですので、正確かつ速やかに名義変更をする必要があります。
この手続きを怠ると、その土地や建物の所有権を主張することができないケースが出てきます。
しかし、この登記手続きには義務がなく、明確な手続期限も定まっていないために、名義変更をしないまま放置してしまう方もいらっしゃいます。
それでは、相続登記をせずにそのまま放置しても問題はないのでしょうか?
【登記をしないデメリット】
・その相続財産(不動産)に関する自分の権利を他人に主張することができません。
たとえ自分がその不動産を全て相続すると遺産分割協議書に書いてあっても、その相続登記がされていなければ、自分の所有権を100%主張できない場合があります。それは、他の相続人が自分の持分を何も知らない第三者に勝手に売却して所有権の移転登記をしてしまうという場合です。相続で100%の所有権を取得した本来の持ち主であっても、何も知らない買主に対しては、「自分の不動産だから返せ!」と言えないのです。
・共有者全員の合意がなければ、相続をした不動産を売却したり、その不動産を担保に融資を受けたりすることもできません。
・相続財産の名義変更(遺産分割)を終えてない場合は共有財産となるので、共有者全員の合意がなければその不動産の売却ができません。
・相続人の誰かに返済のできない債務があったり、税金の滞納がある場合に、その相続人の持分が差し押さえられる可能性があります。
【登記をしないで放置していた事例】
亡くなった方が遠方に土地を保有していた場合で、遺族の方(相続人)では、遺産であることに気づくことが出来ずに、名義変更を怠ったケース
土地が地方にあって、管理もせず放置されているような土地の場合、相続登記をしないで放置されているケースが結構あります。
遺産分割協議もせずにこのまま放置しておくと、相続人だったはずの方が亡くなり、さらにそこに相続が発生し、相続人が増えていくケースもあります。
そうなると会ったこともない相続人同士で話し合いをしなければならない可能性もあり、話し合いが難航します。
そして何よりも、増えた相続人を探し出す手間暇と、そのための経費が膨らんでしまうというリスクを次世代の子どもたちに背負わせることになるのです。
相続人が(借金などを理由に)行方不明になってしまい、相続ができないと思い込み名義変更をしなかったケース
相続人がなんらかの理由で、行方不明になってしまうこともあります。
遺産分割協議は相続人全員の参加が必須となりますので、その相続人が不在では遺産分割協議は成立しません。
このような場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任の申立て」を行い、行方不明になってしまった相続人の代わりに、法律の専門家などが不在者財産管理人として、話し合いに参加し、遺産分割協議をすることができます。
登記済証(権利証)を紛失したため、登記ができないと思い込んでいるケース
不動産を所有している方は、権利証(不動産登記法改正により権利証が発行されていない場合は、登記識別情報)を持っておられると思います。
紛失してしまった場合に権利証は再発行されることはありませんが、相続登記は権利証が無くてもすることができます。
相続登記をすると、“莫大な”相続税が発生すると思い込んでいるケース
相続による名義変更の登記手続きをすると、税務署に情報が伝わり、必ず相続税が発生すると思っておられる方が非常に多いのですが、相続税が発生する相続案件は全体の4%程度(平成27年1月1日以降は6%程度の見込み)の状況です。
つまりほとんどの場合は、相続税のかからない遺産相続なのです。
相続登記をしたことにより、相続税が発生するといったことはありませんので、安心して相続財産の名義変更をお済ませください。
相続登記をせずに、そのまま長期間経過してしまった場合、なんらかの罰則、罰金を恐れて、名義変更ができなかったケース
名義変更をしなかったからといって、法律上の罰則などはありません、ですから、思い立ったらすぐに名義変更することをお勧めいたします。
ご自分の権利を守るためにも、登記は絶対にしておくべきです。
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