後見の失敗事例
[最終更新日]:2018/03/01
失敗事例1
山田さんは認知症と診断されました。山田さんには2人の子(孝さん・良介さん)があり、これまでは良介さん夫婦が財産管理を行ってきました。
相談者はこの良介さんです。
その内容は、良介さんが財産管理をしていることに孝さんが反対している上、山田さんの財産を当てにしているようなので、専門家である司法書士に後見人になってもらいたいとのことでした。
山田さんは、マンション等の管理・運営で、月100万円近い収入があります。
そこで山田さんの財産状況を調査したところ、毎月の収入が全て無くなっていることが判明しました。良介さんに詳しく話を聞いたところ、実は良介さん夫婦が使い込んでしまったという事実が発覚したのです。
これまで6年間も財産を預かってきたということであるので、使い込んだ金額は数千万円に膨れ上がっています。
おそらくはその辺の事情を孝さんにも責められ、思い立ったのが成年後見制度の利用だったのでしょう。使い込みをうまくごまかせるとでも思ったのでしょうか。
成年後見人はご本人のためにその職務を行います。この場合、事実上良介さんが司法書士に成年後見人の就任を依頼していますが、成年後見人は、良介さんを守ってはくれません。良介さん夫婦は、成年後見人から使い込んだお金の返金を求められることになるでしょう。
失敗事例2
母1人子1人の家庭のお話です。鈴木さん(母)の判断能力は正常です。
しかし、最近健康を害し入院しなければならなくなりました。
娘の良子さんは、海外留学中です。そこで出てきたのが鈴木さん(母)の兄、浩太さんでした。
鈴木さんが自分で入院費等の支払いができない状態なので、財産管理委任契約を締結し、浩太さんが鈴木さんの財産を預かることになりました。
財産管理の報酬は月10万円と決め、その上で鈴木さんの病状が悪化すると、ほとんどの財産を浩太さんが受け取れるような内容を遺言に書かせました。
間もなく鈴木さんが亡くなり良子さんが帰国してみると、鈴木さん(母)の財産はすっかり無くなっていました。
親族や家族の間では基本的に信頼をベースにしているため、ややアバウトな約束・契約をしたり、多少不思議に思っても悪いことはしないだろうと相手を信じてしまったりすることが普通です。
鈴木さん(母)は、成年後見制度のことをよく知らず、留学中の娘には迷惑をかけたくないと思い、兄である浩太さんしか頼る人がいないと思い込み、浩太さんの思うがままに財産を使い込まれてしまったわけです。
このような事態にならないようにするためにも、成年後見の専門家であり、第三者である司法書士に財産管理を依頼されることを、ご検討ください。